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[子どもの貧困]総合対策を講じる時だ

2010/02/25 2:48 に Naofumi Nakato が投稿   [ 2010/02/25 3:13 に更新しました ]
・・・・・・・・・・(下記の社説は、この記事を受けて書かれたものです。記事を読むには、タイトルと記事写真をクリックしてください。記事が出た時点でもう一度クリックすると文字が拡大します。また、それぞれの記事はこちらにpdfファイルがあります。)・・・・・・・・・

本紙は1月から2月にかけて、県内の小中学校教員を対象に、「子どもの貧困」に関する独自のアンケートを実施した。調査結果は、この問題が深刻さを増しつつあることを示している。

 家庭・経済状況が厳しい子が増えたと思いますか、との問いに、回答を寄せた241人のうち83%が「はい」と答えた。

 義務教育は無償だが、修学旅行費や制服代、補助教育費などは親が負担しなければならない。社会全体が貧困化することによって、そのような負担に耐えられない家庭が急速に増えているのである。

 「給食費を払えない子どもがいる」(63・1%)、「病気やけがでも病院に行けない子どもがいる」(31・1%)、「夜、子どもだけで過ごしている子がいる」(56%)

 アンケートに応じた教員からは「布団がなくて体調を崩した」「制服が準備できず、登校できなかった」「カッパや傘がなく、雨天時は無断欠席する」「お金がかかるから部活をあきらめる生徒がいた」などの痛切な声もあったという。

 「子どもの貧困」問題が深刻なのは、貧困と生活習慣、学力が連動し、結果として世代を超えて貧困が固定化する可能性があるからだ。

 民主主義社会にとって最も大切な「機会の平等」を保障するためにも、子どもたちの健やかな成長のためにも、この問題に本腰を入れて取り組むべき時期を迎えている。

 離婚率や失業率がかなり高いにもかかわらず沖縄の社会が比較的安定しているのは、「共同体」「門中」「ユイマール」などの言葉に象徴される社会の包摂力がうまく機能しているからだといわれる。

 遺族年金など国からの財政移転が祖父母の経済力を支え、子どもや孫の面倒を見る余力を与えている、とも指摘されてきた。

 そのような側面が今も一部に残っているのは確かだが、家族や地域社会の包摂力は急速に低下しつつあるのではないだろうか。

 非正規雇用の拡大で世帯主は親を支える余力を失い、年金を削って家族の生活を支えてきた高齢者も、以前のようなゆとりを失った。核家族世帯の割合が全国4位(2008年)と極めて高いのも沖縄の特徴だ。社会的な関係性の豊かさが急速に失われ、貧困が、もろに子どもを直撃しているのである。

 厚生労働省は昨年、政府として初めて貧困率を公表した。新政権が貧困の問題に正面から向き合う姿勢を示したことは素直に評価したい。

 実態を正確につかむことが施策の前提だ。

 4月から始まる子ども手当や高校授業料の無償化は、「子どもの貧困」問題に対する取り組みの第一歩といえる。

 沖縄県もこの問題を最重要課題と位置づけ、市町村や関係団体を網羅して総合的な対策を打ち出してほしい。

 カネがないという理由だけで問題解決を後回しにするのは責任の放棄である。

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