子どもの貧困解決へ 弁護士会シンポ (沖縄)

2011/10/11 7:19 に Naofumi Nakato が投稿   [ 2011/10/11 7:23 に更新しました ]

 深刻化する子どもの貧困の連鎖を断ち切ろうと、沖縄弁護士会は1日、那覇市の県男女共同参画センターてぃるるで、シンポジウムを開いた。日本弁護士連合会や九州弁護士連合会、沖縄子ども研究会とともに県内で初めて開催。虐待や非行など子どもを取り巻く問題の背景に貧困が大きく影響していることが報告されたほか、子どもの問題解決に向けて、専門家とともに幼少期から親子を支える必要性を確認。社会全体で責任を持ち、子どもを支援していくよう呼び掛けるアピールも採択した。

 「貧困問題全国キャラバン―沖縄の子どもの未来のために、貧困の連鎖を断ち切ろう」をテーマにしたシンポには、子どもを持つ親や関係者ら約80人が参加。

 日弁連などは昨年度から、子どもの貧困を「取り組むべき喫緊の課題」と位置付け、全国10カ所以上でキャラバンを展開している。

 沖縄弁護士会の横江崇弁護士は、少年非行と貧困が関係する典型的事例として、母親が夜働く寂しさから深夜徘徊(はいかい)を繰り返し、暴走行為で逮捕された少年らを紹介。「健全な発達が貧困によって阻害されている」と報告した。

 同弁護士会貧困問題対策本部本部長代行の大井琢弁護士は「貧困は子どもの権利の侵害だが、特に乳幼児の権利はこれまで意識されてこなかった」と指摘。意思表示が難しい幼児にも目を向けて関係者と連携し、「早期支援の社会的意味を訴えていきたい」と決意した。

 子ども研究会の加藤彰彦代表は、同弁護士会や沖縄タイムスとともに2月に実施した「子どもの貧困観調査」を紹介。

 子どもの声に耳を傾ける姿勢や体制の必要性を実感し、「地域の人間関係の下で子育てしてきた沖縄の伝統を取り戻す必要がある」と指摘。受け皿となる学童や保育関係者の待遇改善なども訴えた。

 このほか、福島大の大宮勇雄教授、同志社女子大の埋橋(うずはし)玲子教授が質の高い保育の必要性や英国の貧困対策について解説した。

 子ども研究会と沖縄弁護士会は2日にも午前10時から沖縄大学で、貧困の連鎖を断つ具体的支援策などをテーマにシンポを開く。参加無料。

2011年10月2日 09時39分 沖縄タイムス
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