高校統廃合 納得できる合意形成を

2011/11/07 20:38 に Naofumi Nakato が投稿   [ 2011/11/07 20:38 に更新しました ]
2011年11月5日 琉球新報 社説

 高校の統廃合を含む、新たな県立高校編成整備計画素案が明らかになった。本部高、南部工高、伊良部高を廃校とするなどの内容だ。
 背景に高校の募集定員減少がある。2010年度はピーク時(00年度)に比べ、2割減の1万6530人だった。適正規模(1学年4~8学級)に満たない学校数は全日制で7校、定時制で8校ある。
 適正規模を下回ると、部活動や学校行事に支障を来してしまうと指摘されている。行政にとって小規模校は生徒1人当たりの経費が掛かるという点もあるだろう。
 しかし、学校は地域の核だ。廃校になると地域の活力が失われないか。より遠くの高校に通学するとなると家庭の負担も重くなるだろう。他府県では廃校を避けるため、希望者の少ない高校に進学する生徒に奨学金を出す自治体もある。廃校については慎重に検討して結論を出すべきだろう。
 統廃合する学校がある一方、統合後の旧南部工高、北谷高は、それぞれ不登校などで学習支援が必要な生徒や発達障がいの生徒への対応を想定した「フューチャースクール」として再編する。
 09年度の県内の高校生の不登校は1314人。全体の2・8%に当たる。そのうち約1割が発達障がいとみられる。
 不登校の生徒に学び直す機会をつくるのは、生徒の可能性を広げることにつながる。
 発達障がいについては、特別支援教育がある小中学校と違い、高校の支援は不十分だった。
 発達障がいは、知的には問題ないが読み書きや計算など特定分野の習得が難しかったり、対人関係が苦手で特定の分野に強いこだわりを持つ傾向がある。
 こうした生徒の自立と社会参加を支援し、共に生きる社会づくりが求められている。生徒一人一人にきめ細かな対応が必要だが、専門の教員は少ない。人材養成が急がれる。指導方法について小中学校との情報交換も必要だろう。
 県教育庁は現行の編成整備計画の課題として、生徒と保護者のニーズの変化、社会情勢の変化、地域の理解を得られなかったことなどを挙げている。
 新しい計画は懇話会で審議される。現行計画の課題を踏まえ、結論ありきではなく公開の場で議論を重ね、地域や住民が納得できるよう合意形成を図るべきだ。
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