文科省副読本 原発記述ほぼ一掃

2011/11/07 17:18 に Naofumi Nakato が投稿
2011年11月14日東京新聞
 文部科学省は十四日、放射線の性質などについて学校で学ぶための副読本を初めて作製した、と発表した。同省などはこれまで、原子力発電に関する副読本を発行していたが、「大きな津波にも耐えられる」などと安全性を強調する記述が、東京電力福島第一原発事故後に批判を浴びた。今回は原発の記述がほぼ一掃されて放射線教育に特化したが、原発事故に関する言及もほとんどなく、教育現場から「福島で使えるのか」と批判も出ている。
 副読本は小学校、中学校、高校別で、A4判十八~二十二ページ。
 福島第一原発事故については巻頭で「発電所の周りに住む方々が避難した」などと触れるだけで、本文では言及していない。関心が高い放射線の健康リスクの説明も、二~四ページ程度となっている。
 小学校向けでは、放射線が「細菌退治」など幅広い分野で活用されていることを紹介。人体の影響については「一度に百ミリシーベルト以下の放射線を受けた場合、がんなどになった明確な証拠はない」としつつ、「受ける量はできるだけ少なく」と注意を促した。
 中学校向けは、放射線の種類、シーベルトなどの単位についても説明している。
 同省は「政府のエネルギー政策議論の結果が出ておらず、事故の検証もこれから。今回は要望の多い放射線に関する教材をつくった」としている。また、編集に当たった専門家や教員による委員会で「事故の説明も入れてはどうか」という意見もあったが「まず児童生徒が放射線に関する基本的な知識を身に付けるべきだ」という見解が大勢を占め、一般的な放射線の説明にとどめたという。
 副読本は指導要領に基づく放射線教育に限定したものではなく、学校や教委の判断で自由に活用できる。
 内容は十四日午後二時から同省ホームページで公開。今月下旬以降、各学校などに、児童生徒用と教師用各一部、合計約八万部を配布する。
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