虐待防止に民間の力を 大阪府・市などが協力要請 : ニュース : 関西発

2011/11/07 17:51 に Naofumi Nakato が投稿
2011年10月21日 読売新聞

 大阪府内の自治体が、民間機関とタッグを組み、児童虐待の対応強化に乗り出している。大阪市が、個別ケースの会議に経験豊富な民間の専門家を招く異例の取り組みを始めたほか、府も市町村に専門家や児童相談所OBらを派遣している。児童福祉法改正で、2005年度から虐待の相談窓口が市区町村にも広がったが、専門職員の不足など課題も多く、見極めを誤って深刻な事態に陥るケースを防ぐのが狙い。厚生労働省も「自治体の体制はまだ十分に整っているとは言えず、民間の力も活用しながら地域全体で対応してほしい」と注目している。

 大阪市は、虐待の通報を受けた場合、保健所や警察、学校などでつくる連携機関「要保護児童対策地域協議会」でケース会議や事例検討会を開き、今後の援助方針や支援計画などを立てる。昨年度は約800回開催されたが、専門知識の不足などから方針決定や計画立案の際、担当者が不安を抱く場合もあったという。

 このため、市は7月、虐待対応の経験が豊富な児童福祉司や児童心理司、弁護士らでつくるNPO法人「児童虐待防止協会」(大阪市中央区)に委託。守秘義務を課した上で、会議や検討会に招いてアドバイスを受けているほか、各区で行われる研修会で講師を務めてもらっている。

 大阪府も市町村の要望を聞き取り、同月から同協会のメンバーや児童相談所のOBらを派遣。親への対応方法などを指導してもらっている。今後3年で全市町村に派遣するという。

 一時保護などが必要な案件は児童相談所、子どもを家庭においたままでも支援が可能な軽微なものは市区町村が対応する。全国で09年度、市町村があたった相談対応件数は5万6606件で、児童相談所の4万4211件を大幅に上回った。同府寝屋川市で昨年3月に起きた女児の虐待死事件では、あざなどの報告が市の実務者会議にあがりながら、虐待事例と判断できなかった。

 同協会理事長の津崎哲郎・花園大特任教授は「今回の取り組みは行政と民間が連携して虐待対応にあたる新しい形で、今後、全国に広げていきたい」と話している。
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