公民、実質審議なく投票 2委員の意見表明のみ、地区協議会の会議録公開

2011/11/07 20:40 に Naofumi Nakato が投稿
11月5日2011 八重山毎日新聞

 来年度から4年間使用される中学校教科書を選定した8月23日の教科用図書八重山採択地区協議会の会議録が4日、音声記録とともに公開された。市情報公開条例に基づき本紙が9月20日付で行った請求に、石垣市教育委員会(玉津博克教育長)が公開した。教科書名を伏せたまま議論が行われていたことが正式に確認され、議事日程にある「意見交換」とはほど遠い内容。教科書の中身を比較検討するはずの「協議」から乖離(かいり)している実態が浮き彫りになった。公民分野で発言したのは2委員のみ。投票後に議論になるという本末転倒の事態を招いている。

 社会科(地理、歴史、公民)の教科書は3人の調査員(教員)が6月28日から7月29日までに計9回、延べ32時間にわたって調査研究した結果、公民分野は「推薦したい教科書」「特徴・特色の教科書」にいずれにも東京書籍と帝国書院を挙げた。育鵬社は、その他の観点から14点のマイナス評価がついた。
 協議は、委員2人が教科書名を言わずにどういう観点で選んだかを述べるだけ。その他に意見はなく、審議は6分で終了。投票の結果、育鵬社が8票のうち5票を集めて選定された。

 会議録によると、次の分野に移ろうとすると、委員から「育鵬社はマイナスの評価が多いのになぜ選定されたか」と待ったがかかる。玉津会長は「もう投票は終わりました。決めるのは私たちです」と制止するが、なお納得がいかない同委員は食い下がり、しばらく議論が続いた。しかし、結果は決まっている。玉津会長は「蒸し返しになるので、これは取り消してください」と議論に終止符を打った。

 協議会は9教科15教科書を選定したが、公民分野だけが調査員の意見を反映しない結果に。玉津会長が繰り返し強調していた「委員の責任と権限」は実質的に同分野で発揮されたことになる。推薦外図書の選定状況を確認しようとする委員に玉津会長は「確認して何をしようとしているのか。確認をしないで下さい」と発言を制止し、「推薦があったかどうかを含めて一切口外しないように」とクギを刺して会議に幕を下ろした。
 会議録では、委員8人のうち3教育長の氏名のみ公開され、5人の委員は「委員」とだけ記されている。
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