沖縄平和学会 「命どぅ宝」の発信源に

2011/11/07 20:35 に Naofumi Nakato が投稿   [ 2011/11/07 20:37 に更新しました ]
2011年11月5日 琉球新報

 日本平和学会の沖縄地区研究会が設立された。沖縄における平和研究、平和教育発展の基盤、中核になることを期待したい。
 県内の研究者、教育者、団体らが連携を強化し、平和教育や平和学習の再構築を図ることが目的だ。今後「沖縄平和学会」の名称で活動する。
 沖縄戦が終結して66年。年月の経過により戦争体験者が減少し、高齢化は進んでいる。「戦争を正しく次代へ伝えること」が難しくなりつつある。
 八重山教科書採択問題や与那国町への自衛隊配備計画などは、平和教育が衰退、形骸化した結果との厳しい指摘もある。
 そんな状況だからこそ、学会設立には意義がある。沖縄の平和学、平和教育を再構築させる、一つのきっかけにしたい。
 日本平和学会は1973年、戦争と平和に関して、多様な研究方法を統合し、長期的な平和の条件を確立するために役立つ科学的、客観的な研究を促進、発展させることなどを目的に設立された。
 これまで県内の会員約20人は九州沖縄地区研究会に所属。九州という枠組みの中で相互交流するしかなく、県内会員同士のつながりが弱くなっているのでは、との危惧があったという。
 沖縄平和学会設立を、新たな人材の発掘、平和教育実践者の育成と支援、平和運動の活性化にもつなげる必要がある。
 日本の平和研究、平和運動を活性化し、リードするような団体になってもらい、「平和」「生命尊重」=「命どぅ宝」の発信源となるよう願う。
 研究成果を蓄積し、その内容を国内だけにとどめず、世界に発信し続けることも重要だろう。
 そのためには、例えば大田昌秀県政時代に設立が検討された「国際平和研究所」のような、平和の実現に関わる諸問題を総合的に調査、研究する機関が必要だ。
 平和、自立、共生を基本理念に掲げた同研究所のような機関は地理的、歴史的に見ても沖縄にふさわしい。機関設立は検討に値するはずだ。
 戦争・紛争だけでなく、飢餓や貧困、差別、環境破壊など人間の尊厳を脅かす「構造的暴力」を取り除くための研究も求められる。
 より多角的な視点から戦争についての研究を進め、どう平和に生かしていくかを県民と共に考えていきたい。

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用語解説:
大田昌秀 構造的暴力 平和学
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