■第3部 共助 未来カフェ 親子支援へ地域結束 世代超え「つながり」模索 [絆のカタチ・揺らぐ結社会](66)

2011/11/27 21:01 に Naofumi Nakato が投稿
沖縄タイムス 2011年11月27日 09時23分

 子どもたちのためにできることを話し合うことで、地域の活性化やネットワークづくりにつなげようという取り組みが始まっている。県学童保育支援センターを中心に、那覇市や浦添市、北谷町で開催されている「未来カフェ」。さまざまな課題を抱える子どもたちを地域で支える仕組みをつくりたいとの狙いもある。

 浦添市内の「つながってるの? 私たち」をテーマに企画した未来カフェ。母親や自治会長、学校関係者ら約20人が顔を合わせた。4、5人のグループでお茶を楽しみながら会話を進めると、育児の不安や地域の課題、気になる親子の実情が次々に挙がった。「忙しくて、子どもや地域との関係をつくれていない親がいる」「十分に親と対話できておらず、人との接し方が分からない子がいる」。予定の2時間はあっという間にすぎていた。

 同センターの中島勝さん(42)は、議論の様子を見ながら「今、多くの親が人に頼れなくなっている。誰かに寄りかかってもいいんだと思えるよう、信頼関係をつくっていかなければならない」と語った。未来カフェをそのきっかけに、さまざまな大人が関わる親子支援ができれば、と願う。

 北谷町美浜ではこの取り組みを機に、20代を中心にした地域おこしが始まりつつある。「地域の集会所を開放して子どもたちを見てほしい」。未来カフェで挙がったこの意見に、同区青年会が反応。若者が講師になって「寺子屋」を開こうという案が出ている。

 同区は、県内外の移住者が集う。ひとり親世帯が多い団地もあるが、学童クラブなど子どもの居場所は少ない。「寺子屋」について、副会長の仲村麻貴さん(29)は「勉強も教えられるし、オジーやオバーからシマクトゥバも習える。子どもたちに、こんな大人が地域にいたんだと伝えられる」と目を輝かせる。

 青年会はことし5月に発足。同区は若い世代の独立が進んでいるため、メンバーは少人数だが、若者ならではの方法で地域に貢献したいと模索している。

 活動の原点には、こんな思いもある。「病気の母親や祖母を周りの人が助けてくれたのを見て、自分も恩返ししないといけないと思うようになった」。ほとんど参加したことがない行事にも足を運んでみると「案外楽しい」と感じ「今は地域の重要性を強く感じる」。

 そんな若者たちの奮闘を、地域の行事を引っ張ってきた50代~60代が温かく見守る。美浜区自治会書記の岡村悦子さん(50)は「美浜は人材が豊富なので、協力を得ながらやりたいことをやってほしい」とエール。同センターも区の活性化に役立ちたい、としている。

 始まったばかりの親子支援と居心地のよい町づくり。大人たちの背中を、子どもたちはきっと見ている。(「絆」取材班・嘉数よしの)=おわり

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